インドのiPhone工場火災がAppleの中国依存を促す可能性
- Explore Asia
- 2024年10月3日
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更新日:2024年10月4日

スマートフォン(イメージ画像)
インドのタタ・グループのiPhone部品工場が、ホリデーシーズンを前に大規模な火災に見舞われ、Appleのサプライチェーンが深刻な打撃を受ける可能性が報じられています。このニュースは、インドにおけるAppleの生産拠点としての期待が高まる中、特に注目されています。現地メディアのThe Economic Timesなど複数メディアが伝えています。
火災が与える生産への影響
今回火災が発生したタタの工場は、インド国内および海外向けにiPhoneの部品、特にバックパネルを製造しており、この火災による損害は甚大です。タミル・ナードゥ州のホスールにあるこの工場は、Appleの契約製造業者フォックスコンや、タタ自社の組立工場に独占的に部品を供給していました。今回の火災により、iPhoneの旧型モデルの生産には10〜15%の影響が及ぶと予測されています。
特にディワリやクリスマスといったホリデーシーズンは、インドにおけるスマートフォンの需要が急増する時期であり、iPhone 14と15のモデルが150万台販売されると予測されていました。しかし、火災による生産停止で、Appleはこの需要の最大15%を満たすのに苦労する可能性があります。
Apple、中国への依存を再び強化か
インドは、Appleの生産多角化戦略の一環として、中国に次ぐ重要な製造拠点と位置付けられています。特に新型コロナウイルス感染症のパンデミックがサプライチェーンに混乱をもたらした後、Appleは中国依存からの脱却を図っていました。しかし、今回のインド工場の火災は、この戦略に逆風を吹かせるものとなり、Appleが再び中国のサプライヤーに頼る可能性が指摘されています。
香港に拠点を置くカウンターポイント・リサーチによると、Appleのサプライヤーは通常3〜4週間分の部品在庫を保有していますが、火災の影響が長期化する場合、Appleは中国に新たな組立ラインを設置するか、既存のラインを拡充する可能性があるとのことです。
「メイク・イン・インディア」政策への影響
インドのナレンドラ・モディ首相が推進する「メイク・イン・インディア」政策は、外国投資を促し、インドを電子機器製造の主要なハブとすることを目指しています。しかし、今回のタタ工場の火災事故は、インドの製造業の信頼性に疑問符を投げかけることになるかもしれません。
昨年、Appleの他のサプライヤーであるフォックスリンクやペガトロンでも火災事故が相次ぎ、インドにおけるサプライチェーンの脆弱性が露呈しました。これにより、Appleはインド市場への依存を強めつつも、リスク分散の観点から中国へのシフトを余儀なくされる可能性があります。
タタにとっての打撃と今後の展開
タタは、インド国内でのiPhone生産を拡大し、世界市場に向けた出荷も増やしていました。2023年度には、オランダや米国に向けてiPhoneを輸出し、収益は2億5000万ドルに達していたとされています。しかし、今回の火災により、インド国内のみならず、海外市場向けの供給にも影響が及ぶことが懸念されています。
さらに、タタはバンガロール近郊のiPhone組立工場や、チェンナイ近郊にあるペガトロンの工場も運営・買収を進めており、インドにおけるAppleサプライヤーとしての地位を確立していました。アナリストたちは、2024年にはインドが全世界のiPhone出荷台数の20〜25%を占めると予測していますが、この火災がその見通しにどの程度影響を与えるかが注目されています。
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